前回のブログからの続きです。
明け方までブログ書いてたら変なテンションになってしまい
仮眠を取ってスッキリしたので気にせずそのまま書き進めます。
触角フックのパッケージ。
僭越ながらちょっと私がお手伝いさせていただきました。
Gamakatsuさんのイメージを崩さないように
触角フックの〝Vガード〟をイメージさせるラインを入れたシンプルなデザイン。
最終的な定着に関してはGamakatsuさんの方でやっていただきましたが、
タタキ台のデザインは私が起こしました。
このパッケージデザインで私が重要視したのがこの部分。
T.G.W(トーナメントグレードワイヤー)
触角フックが〝究極の触角フック〟になるためには
この線材(フックの材料)の使用が不可欠でした。
GamakatsuさんのフックでT.G.Wを採用しているものは
バス用のフックを中心にいくつかあるんですが、どれも訴求が弱い。
T.G.WってGamakatsuさん独自のものなので
大きな訴求ポイントになると思うんですが・・・
あっ、ちなみに触角フックのパッケージは
画像左の『WORM 334』のイメージを踏襲しています。
Gamakatsuさんのパッケージって
こういうシンプルなデザインのイメージが私にはあるんですが、どうですかね?
そして最終的に完成したのがこのパッケージ。
書体とか、細かい部分は若干変わってますが
ほぼタタキ台のデザインのままいってくれたようですね。
後から聞いた話だとT.G.Wのアイコンは
Gamakatsuさんの規定だとここまで大きく入れることは過去になかったみたいですが、
フジワラがうるさいからこのままでと、担当の方がゴリ押ししてくれたみたいです。スミマセン・・・
さぁ、そんなワケでいよいよこの記事のオーラス、
T.G.Wの線材が触角フックに必要だった理由について書いていこうと思いますが、
その前にチヌ・キビレの口の構造について少しお話し。
例えばブラックバスの口。
バスの口で硬い部分は唇の周りくらいで
ルアーが口の中に入ってしまえばフックが掛かる場所は多くあります。
比較的フックアップしやすい対象魚と言えますね。
それに比べてチヌの口。
画像はどちらも同じ50cmぐらいのサイズを選んで載せてますが、
バスに比べるとかなり小さいし、口の中は歯がビッシリと並んでいます。
バスは大きな口で吸い込んで飲み込むかたちの捕食をすることが多いですが、
チヌ・キビレは貝や蟹などの甲殻類を噛み砕いて捕食するので
こういった口の構造をしています。
ちなみにこの画像では触角フックを使っているので上顎の奥にしっかり掛かっていますが、
オフセットフックだと魚のサイズが大きくなるとこの掛かり方はしにくくなりますね。
一般的にチヌ・キビレは
口のサイドのカンヌキと呼ばれる部分に掛けるのが
良いと言われています。
魚が反転して重みが乗ってからフッキングするとこの掛かり方になることが多いですが、
ショートバイトを積極的に掛けていかないとフックアップできない状況もあるし、
口の中に入ったルアーの状態はアングラー側がコントロールしきれない部分もあります。
歯がビッシリで硬い部分が多いチヌ・キビレの口。
当然硬い部分にフックポイント(ハリ先)が立つとほぼ掛からないし、
ポイントが鈍ってしまう原因にもなります。
そういった状況に対応すべく、
私たちが最もチニングに適していると考えたフックの線材が
T.G.W(トーナメントグレードワイヤー)。
釣鈎専用特殊新素材のGamakatsuさんオリジナルの線材なんですが、
ハリ先が欠けたり曲ったりすることが極めて少なく、
一般的に釣鈎に使われる線材に比べると鈍りにくいという特徴があります。
しかも高強度で靭性の高い線材なので、同じ強度なら線径を細くできるという特徴も。
同じ強度と靭性ならフックは細ければ細い方が刺さりが良くなるので
ルアーフィッシングには理想的なフックの線材だと言えます。
Gamakatsuさんってこんなに良い線材を使ってるのに何でそこを強く訴求しないんだろう・・・
特に口の構造上、フックアップさせるには
フックそのものの性能が重要になってくるチニングにおいては
T.G.Wってスゴく適している線材だというのが私たちの考えです。
フックってどうしても形状に目が行きがちですが、
もっと大元の線材の部分が対象魚にマッチしていると
釣鈎としてのベースのポテンシャルがグンと上がります。
そういう部分を大切にしてモノ作りをすることで
今まで既存のフックを代用して使っていた触角フックが
〝究極の触角フック〟へと進化できるハズ。
そうしてテストを繰り返して最終的に行き着いたのがこのフック。
触角フックはこの『G-Finess Stinger』を採用することにしました。
もちろん線材にはT.G.Wが使われています。
Gamakatsuさんって釣鈎の世界的企業なので
ストレートフックだけでも日本で販売されてないものが
世界各国にかなりの種類があります。
その中でYukiさんが求めるものに近いものを片っ端から取り寄せては実釣で検証していき、
それでも理想とするものがなかったらオリジナルで作ることになっていたんですが、
色々試した中でYukiさんが「これがパーフェクト」とチョイスしたのが『G-Finess Stinger』。
シャンクの長さ、ベントカーブの形状、内向きのスロート、マイクロバーブなど
全てがYukiさんが理想としていたもので、しかもそれがT.G.Wで作られている。
営業的な立場で言うとイチから作った方が
セールストークとしては付加価値を付けやすいなぁとの思いもありましたが、
Yukiさんがパーフェクトと思ったものが目の前にあるのにそれを採用しない手はないし、
このフックを使い出してから飛躍的にキャッチ率が上がったのも事実です。
なのでこれはこのまま採用しようと。
そして噓偽りなく『G-Finess Stinger』だとアナウンスしようと。
下手な小細工は私たちの流儀に反します。
ちなみにこのフック、
アメリカでは主にバスフィッシングの
ネコリグ用フックとして開発されたものです。
日本だとストレートワームのネコリグはマス鈎形状のものが一般的ですが、
アメリカでは最近こういったロングシャンクのストレートフックが
広まりつつありますね。
アメリカではこのフックは#1/0・#1・#2・#4・#6の5サイズがありますが、
触角フックとして採用するのは#1・#2・#4の3サイズ。
チニングに使うサイズとしてはこの3つでほぼ対応できます。
触角フックの最終サンプル。
ガードやワームキーパーの長さや位置の微調整を何度か行い、
2023年の11月に届いたこのサンプルでYukiさんがGOサイン。
そこから職人さんたちが一本一本丁寧にハンドタイイングしてくれてます。
熟練の職人さんを持ってしても何万本単位で作るのは相当手間を要する作業なので
リリースまでに時間が掛かってしまうのは致し方ないことですね。
自信を持ってオススメできるフックになったと思うので
リリースまでもうしばらくお待ちください。
というワケで二回に分けてお届けした
〝究極の触角フック〟を追い求めての取り組み。
究極を目指すなら形状もさることながら
フックの元となる材料の線材も吟味することが重要。
そして私たちがチニングにおいてベストの線材だと感じたものは
Gamakatsuさんにしかない釣鈎専用特殊新素材のT.G.Wという線材でした。
だから触角フックはGamakatsu製である必要があったのです。
カタチだけ真似ても辿り着けない境地にまでブラッシュアップすること。
それこそが〝究極の触角フックプロジェクト〟です。
ではまた。